【世界キルト紀行 9】チェコ/美しいものを訪ねて
#2 深い藍染め布

前回のチェコへ旅をしたときに出合った美しい品々をご紹介するミニシリーズの2回目。

前回、チェコのガラスボタンをご紹介した記事はこちらから
▶︎▶︎▶︎https://quiltdiary.jp/world9/

2.オレシュニツェ(ボヘミア地方)OLEŠENICE 

深い藍染め布

ポーランド国境近く、モラビア地方にほど近いが、ボヘミア地方に属するオレシュニツェ村。
標高が高く気温が低い土地ゆえに麦が育たず、かつては寒冷地でも育つ麻が作られていた。
十五世紀から麻を織る産業が栄え、並行して染色屋も多くあった。
この地域での藍染の歴史は十八世紀に始まる。
オランダから染めの技術が伝わったからだ。
最初は無地だったが白く細かい模様を染め抜いた捺染の技術に人気が集まるとこの地方独自の藍染布が生まれることになる。

濃い藍色がチェコ好み。

一九三〇年以降は木綿の藍染が主になり、さらに広まっていった。
一九四八年に国が共産圏に変わると個人経営が禁止され、ほとんどの工場は閉鎖された。
しかし藍染の伝統を命がけで守ったのがダンジンガー家。
政府の命令をかいくぐり家業の藍染の道具一式を土の中に隠し守った。
それが息を吹き返すことになったのは一九五六年。
政府が伝統工芸を復活させる目的で民族工芸保存会という組織を作り、ダンジンガー家の三代目は自ら藍染を申請し、それが認められたのだ。
そして現在工場を守るのはイジー・ダンジンガー氏。

捺染の作業中。

イジー・ダンジンガー氏(Jiří Danzinger)

型職人。

そこで見せてもらった藍染はかなり色が強く濃い印象である。
もうひとつ特徴的なのが表面の光沢。
「家では特別な方法で光が出るように機械で布を伸ばしています。もちろん先代が隠していた機械をそのまま使っていますよ」。
現在は五代目も加わり、昔ながらの手法が手渡しされている。

キルト時間13号掲載記事

キルトの最新情報と、素敵な作品&作り方満載のキルトダイアリー10号は発売中!
10号からの購読の第二次募集スタートしました。
8月20日までにお申し込みいただけると9月10日までにお届けとなります。

年間購読は、下記からお申し込みいただけます。
→→年間購読申込はこちらから

 

関連記事