【作家紹介 Gallery】シーラ・フランプトン・クーパー

A View from Above
空から地上を見たときの景色を想わせる。

Profile


Sheila Frampton Cooper
シーラ・フランプトン・クーパー
フランス在住
アメリカ生まれ。現在フランス在住。2人の子供のシングルマザー。


アートキルトの世界に花開いた新しい才能
シーラがその制作について語ります。

車を運転する時のスピード感が好きです。制作する時に重視するのもそれです。あらかじめ、下絵を描いて計画的に進めるのではなく、心の赴くままに即興的に布を縫い合わせ、そのプロセスの中から生まれる予期せぬ発見を楽しんでいます。それは車を運転するのと同じ高揚感があります。常に「前に進め」の姿勢ですが、仕事場に入るとペースダウンして瞑想の状態に入ります。そこは聖域のようなものなのです。キルトは静と動、高揚感と瞑想の両方を与えてくれるものだと思います。

Kelp
海中を泳ぐ昆布。

以前は絵を描いていて、縫い物にもテキスタイルにも興味がありませんでした。キルトには二〇〇九年にプロジェクトライナスを通して出合いました。このプロジェクトは厳しい環境にいる子供達にブランケットを寄付するというもので広くキルターの間で続けられている活動です。ふと自分も参加したいと思い、キルトを作り始めました。そして一年間で三十枚を縫い上げ、寄付しました。キルトを作ることに面白さを発見して、その一年後に私は初めてのアートキルトを制作していました。

Lair of the Amethyst Deva
水晶。

私のキルトは大胆で視覚的だと思います。インスピレーションは自然界の色や線、形などから得ています。特に好きなのは熱帯魚の鮮やかで美しい形です。染料を濃くして絵を描いたり、抜染をしたりして布を用意します。それが私の絵の具になります。そこからが私がいちばん好きな仕事。どんどん切って縫い合わせていくのです。下絵も計画もなく即興です。頭の中にすでにある色と形のビジョンに従い、手がそれを運んでズームアップしていきます。手はまるで指揮者のようで、デザインボードの上でまとめあげるのです。実際、ピーシングだけで形に作り上げることはかなりの技術を要するチャレンジですが、それだけにやりがいもあります。

The Beech
海辺。

最も好きなアーチストはフンデルトヴァッサーです。現代美術の騎手であるオーストリアの画家で作品から影響を最も受けていると思います。

ひとつ他のキルト作家と違うところをあげるとすれば、作品をシリーズで作らないことです。個々の表現として完結させるために一作一作に集中して、仕上げているのです。

Undersea Portals
海底ポータル

キルトの世界で私はキャリア十年足らずですが、思うにキルトはまるで魔法の世界です。才能ある人と出会い、素晴らしい経験をして…。予想もつかない方法で私の人生はカラフルに豊かになっています。 

 

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