東京三鷹にあるギャラリーのジェーナス・クリエーションが三周年の記念イベントとして作品コンテストを開催。
その審査員の一人として審査に参加させていただいたのが6月でした。
キルト部門とフリー部門、学生部門の3つのカテゴリーでの募集に、実にさまざまなテキスタイル作品が集まり、専門分野の異なる審査員が膝を突き合わせ、意見を交換しながら、表現としてのテキスタイル作品を評価しました。
これまで数多くのキルトコンテストの審査が経験がありましたが、幅広いテキスタイル作品と同列で点数をつける作業は評価基準がなかなか掴めず結構悩みましたが、作品を前に向き合ううちに自分の鑑賞の枠や見る視点が広がり、まさに糸と針から広がる表現の可能性に触れることができ、楽しく刺激ある経験となりました。
グランプリに輝いたのは「血脈の愛ー祖母と私」と題した学生部門の作品。
作者の黒岩真央さんは家族の古着を解体することで、服は糸へ解かれ混ざりあい再構築されて家族の「つながり」を手繰り寄せたとコメントしています。
実態のない「つながり」を視覚化していくことで現れてくる価値を問い直し、作り上げた形は強く訴えてきます。
優秀賞のキルト部門では、櫻井紀子さんの「流水」が選ばれました。
和紙や帯芯を用い、墨が水面を滑るように流れていく時にできる曲線に魅了され制作につながったそうですが、日本人ならではの感性が全面に出たアート作品で、キルトが到達する新しい境地を見せていただきました。
なお、最優秀賞、優秀賞には、ジェーナスクリエーションで個展開催という大変光栄なご褒美も発表されました。
他、フリー部門では鳥を描いたフェルトのバッグ4部作「青ざめた鳥たち」の阿部信子さん、学生部門では金属繊維を編み棒で編んで造形を作り上げた「曖昧で心地よいものたち」の齋藤碧さんが優秀賞でした。
今回は審査員賞も設定されており、選ばせていただいたのが「ハート」の山下公喜子さん。
アクリル版に配したミニキルト4作品で、並べるとハートが見えてくるキルトです。さまざまな手法を駆使している点とアクリル板に挟み込まれたミニキルト4枚が横並べしても縦並べでもサマになり、こういう作品こそ家に飾りたいキルトの形になるのではと思ったからで「市川直美賞」とさせていただきました。
表彰式に山下さんは、お住まいの熊本から表彰式に出席され、お会いできて嬉しい思いをいたしました。
ジェーナスクリエーションの公募展は2023年も開催予定とのことですから、興味ある方はぜひチャレンジしてみてください。
この公募展の入賞入選作品展は7月20日まで。東京三鷹のジェーナスクリエーション1F2Fギャラリーで展示されています。
ジェーナスクリエーション 公募展
〒180-0013
東京都武蔵野市西久保1-6-20
電話/0422-51-1480
営業時間 11:00~18:00木曜休廊 (7/20は16:00まで)
WEB https://janus-creation.jp